幸福喫茶3丁目2番地「あべかわさんのさくらもち」ネタバレ・感想

作品名:幸福喫茶3丁目2番地 story01

タイトル:あべかわさんのさくらもち

作者:松月滉

ジャンル:高校生、恋愛、ネタバレ、感想

 

 

幸福喫茶3丁目2番地 あらすじ

留学から帰って来た進藤と大学に進学した潤を中心におくる「幸福喫茶3丁目」のアフターストーリー。潤とボヌールに関わる人たちのその後とは…?また、潤と進藤さんの恋はどこまで発展をしたのでしょうか。そして潤と一郎の関係にも大きな変化が生まれます。気になるキャラが全員登場する温かくもなつかしいお話です。

 

幸福喫茶3丁目2番地 あべかわさんのさくらもち 概要


花ゆめAi 幸福喫茶3丁目2番地 story01

 

花ゆめAiで連載された、幸福喫茶3丁目2番地の第一話(story01)は「あべかわさんのさくらもち」というお話。このストーリーでは、西川二郎と安倍川さくらのその後のお話が描かれています。小学校に進学をした二朗とさくら。二朗は相変わらず体が弱く、学校や授業を休みがち。一方でさくらは明るく活発。いつも一緒にいる2人ですが、二朗はさくらに置いて行かれているように感じ、さくらに追いつきたいと考えます。二朗は無自覚のまま、どこかさくらと距離を取るようになっていました。二朗にとってさくらはどういう存在なのか?さくらにとって二朗の存在は?2人の関係性や想いが、少しずつ変化していきます。

  

そして高校生になった時枝健志と有本弐鷹も登場し、皆の成長した姿を見る事ができます。本編ではあまり描かれなかった、健志と二朗の関りや潤が繋げたボヌールの常連さん同士の絆も描かれています。

  

 

幸福喫茶3丁目2番地 あべかわさんのさくらもち ネタバレ注意

幸福喫茶3丁目では、幼稚園児だった西川二郎(にしかわ じろう)は、9歳となり小学生になっていた。相変わらず無表情でクールな男の子。二郎は、幼稚園から現在まで兄のバイト先であるカフェ「ボヌール」に常連として通っている。

 

そして二郎には、幼馴染がいる。それは、和菓子屋「あべかわや」の長女である安倍川さくら(あべかわ さくら)だ。二朗とさくら、土田ツインズ(双子)は、同じ小学校へと進学した。

  

さくらと二朗は、相変わらず仲が良く、登下校も一緒にいることが多い。そんな2人の関係性も少しずつ変わってきていた。さくらは幼稚園の時、いつも体が弱い二朗の手を引いて歩いていた。二朗にとって今でもさくらは、自分の前を歩いて行く星のような存在。二朗はいつもさくらの背中を見ているような、追いかけているような気がしていた。

 

ある日、体の弱い二朗が久しぶりに体育の授業に参加をした。さくらは運動神経がよく、運動会のリレーの選手に選ばれるほどで注目を集めていた。一方で二朗は体が弱く、運動は出来ない。みんなが合格した体育のテスト「さかあがり」は、保健室で寝込んでいた。

 

二朗以外の友達、さくらや土田ツインズは、既に「さかあがり」のテストに合格しリレーやてつぼうなど他の種目に挑戦していた。そんな中、二朗は「さかあがり」が出来なかった。

 

二朗は翔(しょう)に言われた「男子だけど足が速くない(運動神経が悪い)」という言葉が胸に刺さった。普段なら「本当のことだからどうでも良い」と思うが、さくらの顔を見ると、「どうでも良い」なんて投げやりな気持ちになれない。さくらに追いつきたいと強く思ってしまう。

 

放課後、さくらが二朗にいつものように「一緒に帰ろうよ!!」と笑顔で呼びかける。二朗は「ちょっと…寄るところがある」と言い、さくらを突き放す。二朗はさくらに行き先を言わず「また明日」と言ってその場を去った。いつもと違う二朗の態度にさくらは茫然として無言で二朗を見送った。

 

二朗の「寄るところ」とは、時枝健志(ときえだ けんし)と有本弐鷹(ありもと にたか)の所だった。放課後、突然目の前に現れた二朗に驚く健志。「さかあがりを教えて下さい」二朗は、2人に丁寧にお辞儀をしながら頼み込む。二朗が2人を頼った理由は潤が普段から「健志くんは運動が得意!」と自慢げに話していたからだ。

 

健志と弐鷹は、二朗からさかあがりを練習する理由を「さくらに追いつきたい、自分が勝手にそう思うだけ」と伝えられる。健志は、潤を想う自分の気持ちを二朗の言葉に重ねていた。弐鷹は思いつめる二朗に「さくらは友達をおいていくような子じゃないと思う」と声をかけた。健志は二朗に「面倒見てやる」と言い、さかあがりの練習に付き合うことを約束した。

 

さかあがりの特訓を始めた二朗。さくらは、放課後になると毎日二朗に一緒に帰るように声をかけるが、二朗は行き先を教えず、ただ「ごめん」と言って断る。少し心配そうな表情のさくら。二朗はさくらを見て、さくらと出会った時のことを思い出す。「冒険に行こう!」最初にそう声をかけてくれたのは、さくらだった。それからずっとさくらは自分の手を引いて歩いてくれた。「手を引いてもらうだけじゃ、もうダメなんだ」二朗は、さくらと対等でありたいと強く思った。

 

二朗はいつものように、健志と弐鷹と一緒にさかあがりの特訓をしようとしていた。すると通りかかった2人のクラスメイトが「明日はテストなんだから、寄り道しない!」と呼びかけた。二朗は、2人がテストを控えていたことを知り、「テストは大事です。今日は一人で練習できます」と言い、立ち去った。

 

二朗を心配する健志と弐鷹。どうにかして二朗を呼び戻そうかと考えていると、さくらが二朗の後を追いかけて行ったことが分かった。弐鷹は「さくらがいれば大丈夫だろう」と、一息ついた。

 

一方、1人でさかあがりの練習を始めた二朗。手にはマメが出来ていた。二朗はここ数日、無理をしすぎたのか、だんだんと呼吸が荒くなり目の前がかすみ始める。体調が悪くなっているのを感じる。そんな時、思い出すのはさくらのことだった。「こんな所で倒れている場合じゃない、そんな時間は無いのに…、どうしていつもこうなってしまうんだろう」二朗は、とうとう鉄棒を握れなくなり、その場に倒れ込む。

 

二朗は意識がなくなる間際、薄っすらとさくらの声が聞こえた気がした。

 

二朗が目を覚ますと、そこは自分の部屋のベッドの上だった。「起きた?」二朗が横を見ると怒った表情のさくらが座っていた。さくらは二朗に、さかあがりの練習を秘密にされていたが寂しかったこと、このまま一緒に帰ることが出来なくなると思い怖かったことを打ち明けた。

 

「さくらみたいになりたかった、だから手伝ってなんて本人には言えないでしょ?」二朗もさくらに自分の気持ちを伝えた。そしてさくらに「さかあがりが出来たら、また一緒に帰りたい」と伝えた。さくらはとても寂しそうな顔をして「わたしも練習を手伝いたい」と二朗に提案する。さくらの不安そうな表情に二朗の心が動く。

(いつもかっこ悪いところばかり見られてしまう、でもさくらの笑顔が見れない方がもっと嫌だ)「うん、手伝って」二朗はさくらにそう言った。するとさくらは満面の笑みを二朗に贈った。

 

「わたしみたいになりたいって言ってくれたよね、二朗君はそのままがいいよ、だって、わたしを笑顔にしてくれるのは、今の二朗君だから」さくらは’’へへっ”と照れたように笑った。そして「初めて言うけど、学校でたまに二朗くんに会うと元気が出て何でも頑張れちゃうんだよ!」と伝えた。

 

二朗はさくらの言葉で自然と優しい笑顔を浮かべる。微笑む二朗を見てさくらは自然と顔を赤らめて言葉を失う。「……たまに見れる二朗くんの笑顔も大好きだよ」「…可愛いから☆」さくらは、はしゃぎながら二朗に伝える。

 

(なぜだか、釈然としない)さくらから大好きと言われるも、可愛いと言われたことが腑に落ちない小学生の二朗。

 

(もし、さかあがりができるようになったら、さくらに自分から手を繋いでみようかな?さくらは笑ってくれるかな?笑ってくれたらいいな…)二朗はさくらと自分が手を繋ぐ様子を想像しながら温かい気持ちになった。だけどまだこの気持ちが何なのか、二朗にはハッキリとした自覚は無かった。

 

そして数年ーーー

高校生になった二朗とさくらは…。

 

このストーリーでは最後に、高校生になった二朗とさくらの様子が描かれています。2人の関係がどうなったのか、是非書籍で確かめてみてください。そしてこのお話には、月城千代(つきしろ ちよ)と時枝健志(ときえだ けんし)の一コマも描かれています。とても可愛いので探してみてくださいね!

 

 花ゆめAiで公開されたストーリー全5話が収録されています。

・あべかわさんのさくらもち

・進藤さんちで新年会2019

・西川さんちは心配性

・千年さんちに言ってみた

・婚約のお知らせ

幸福喫茶三丁目ファンの方は是非お手に取ってみてください。